ベルーフアカデミー主催の講演会は17日、長野市のJA長野県ビルを会場に開いた。教育コーチの江藤真規さんを招き、「中学受験に求められる子育て」の題でお話しいただいた。
江藤さんは現在、東京大学大学院博士課程に在籍しながら、株式会社サイタコーディネーション代表取締役等を務めている。また自身の2人のお子さんが中学受験をした経験を踏まえ、全国各地で年に90回を超える講演活動を行っている。
大学受験制度の改革に代表されるように、教育が転換期に来ている現状から、まず冒頭で「変化の多い時代に振り回されないようにするには、自分自身が変化を起こすことが重要」と、能動的に社会と関わる大切さを伝えた。そしてテレビやネット、出版物から聞いたり読んだりすることだけから得られる情報は、5~10%程度しかその内容を覚えていられないのに対し、(セミナー等に参加して)体験したりディスカッションした内容は50~75%も吸収できるというデータを紹介しながら、今講演でも話の途中で、参加者同士が実際に話し合う時間を設け、ただ聴講するより実りあるひとときを演出した。
本題では大学受験を例にとり、従来は赤本の過去問を繰り返し解けば受験対策ができたが、これからは高校に入ってあわてて志望校の対策をすればいいという時代ではなくなると話し、これが「家庭教育の意識が高まったきっかけになっている」とした。「あらゆる教科に対する知見が必要になり、何をどれだけ知っているかではなく、知っていることをどうつなげて、いかに新しいものを作っていくかが求められている」と訴えた。そして「(子どもたちに)どんな力が求められているか」「そのために家庭でどんなことをすればいいか」をテーマに参加者同士で話し合ってもらったりした。
中学受験への意識という点では、あくまで主観だがと前置きしながら、「行ったことがないのだから子どもは中学のことがわからない。長期的な視座に立ち、子どもの資質をとらえた上で、中受が必要かどうかも踏まえ、ある程度は親が主導権を持って決めていくことが大切。もちろんそののちに子どもとよく話をし、主張に耳を傾けながら決定するのが理想」と想いを語った。
自身のお子さんの中学受験の経験からは「最後まであきらめなくて良かった。最後まで子どもの力を信じてよかった」と実感を伝え、「子どもには“育つ力”があるのだから」と何度も繰り返し、「親がハッピーであること、そのために意図的にプラスな面に着目することがポイント。そして“信じて、信じて、信じきること”で、子どもは勉強やこれからのことにポジティブに向かえる」と力を込めた。最後は「子どもが大人になってどういう人間として生きていくか。そのための経験としての中受であり、そういう想いで勉強する子どもと接していってほしい」とエールを送った。
講演会後は、中学入試合格報告会を開催。県内の国公立・私立の中学受験を実施している学校についてお伝えしたのち、改革される大学受験の現状や心構えなどについて紹介した。